【特許取得・自動車メーカー採用】廃棄予定のPVBを活用したリプロダクト製品の開発ストーリー
当社が生み出す製品の一つに、特許を取得した「SOREシート」と呼ばれる製品があります。
廃棄予定のPVB(ポリビニルブチラール)を活用した製品で、5年もの月日をかけて開発に臨みました。
材料の元が”廃棄予定だったもの”だからといって、製品の品質に妥協はしていません。
その証拠として開発後、SOREシートは国内の自動車メーカーや建設業界で数多く採用されてきました。
今回は、いくつもの壁を乗り越えて生み出されたSOREシートについて、誕生までの開発ストーリーをお届けします。

PVBって何?
PVB(ポリビニルブチラール)は、安全ガラスの中間膜に使われる樹脂材料として知られており、ガラスとガラスの間にPVBの中間膜を挟むことで様々な効果を発揮します。
例えば、ガラスが割れた時の飛散防止や衝撃の吸収、遮音性を向上させるといった効果があり、自動車のフロントガラスや建築用の安全ガラスなどに使われています。
PVBの特性
PVBは様々な効果を発揮する樹脂材料でありながら、一方で熱に過敏なため扱いづらいという特性を持ちます。
廃棄予定のものを材料化するリサイクル技術に長けた当社であっても、PVBフィルムの切れ端を材料化することは、かなり難易度の高い取り組みです。
「難しいからこそ面白そうだと感じました。
そして競合が挑戦しづらい材料で、新製品の開発に挑むことは自社の開発力アップに繋がると思ったんです」
by 代表 加藤
チャレンジの先に自社の成長を感じた代表の挑戦心から、PVBフィルムの切れ端の材料化、そしてその材料を活用したSOREシートの開発がスタートしたのです。

開発はゼロからのスタート
新製品の開発は「どうすればいいか分からない」という、まっさらな状態からスタート。
約2名の開発担当者が試行錯誤を繰り返し、完成まで一歩ずつ前進を目指していきました。
材料化にトライする際は、PVBに加える素材の検討、素材同士を混ぜる順番、温度、スピードなどを細かく変えていきながら、最適な条件を見つけ出します。とはいえ、すぐに最適解が見つかるほど簡単ではありません。
大学、大手メーカーと共に進める開発
材料化、リプロダクト製品の製造において知見を持つ私たちでも、一筋縄ではいかなかったSOREシートの開発。
そこで私たちは、PVBの研究者を探し、ある大学へ問合せをしました。
開発に必要なデータを提供してもらうなど、専門家の力を借りることで、完成に向かって開発スピードを上げたいと考えたのです。
さらに大手メーカーとタッグを組み、共同で開発に臨める体制を構築。
PVBを活用した新製品開発の中で一番といっていいほどの難題は、PVB自体が扱いづらいということです。
企業秘密のため、この記事で具体的な内容を出すことはできませんが、さまざまな試行錯誤を重ねる中、素材を変性させることに成功して、PVBが扱いやすくなりました。
この発見は、共同開発の体制を構築したからこそ得られた結果です。
大学、大手メーカーなど専門知識を持つ方々と共に開発を進めていき、約5年という長い月日をかけ、ついにSOREシートが完成しました

国内の自動車メーカーや建設業界で採用されている、SOREシート。
このシートは遮音性が高く、加えて、制震性を発揮することが特徴で、製品の新規性や独自性などが認められ、特許取得に成功しました。
嬉しい副産物として「放射線の遮蔽率が高い」という特徴もありました。
遮蔽率とは、放射線をどれだけ遮る(カットする)ことができるかを示す割合のこと。
この特徴を活かす道の一つとして、今後は医療業界への展開も目指したいと考えています。

一度、材料化した上で、製品として世に送り出すまでが私たちの仕事です。
そして培った技術力を活かしながら、未だトライしていない分野への研究開発にも果敢に挑戦する姿勢が鈴鋼製作所”らしさ”。
「一つでも『可能性』が見つかる。この瞬間のワクワク感を味わえるのは、研究開発に取り組むからこその醍醐味です。今後も新たなご依頼をいただくなど、色々な計画が予定されています」
by 代表 加藤
モノづくり産業を支え、限りある資源を守るために、私たちは今後も「循環工夫企業」として進化を目指していきます。




